2009年2月10日火曜日

『3時間で「専門家」になる私の方法』 佐々木俊尚 著


「私の経験で言えば、検索エンジンをごく普通に使いこなせる人であれば、おおむね3時間もあれば、インターネット上に存在しているさまざまな情報を収集し、その分野に関して専門家に近い認識を得られるようになります。」


3時間で「専門家」になる私の方法
佐々木 俊尚
4569695043



■内容紹介(amazonより)

ベストセラー『グーグル--Google 』の著者が自らの情報収集、分析手法を初公開!
インターネットの登場で、情報は「すぐ手の届くところ」に存在するようになりました。かつては途方もない作業が必要だった情報収集・整理が、パソコン1台を使いこなせば、今は3時間程度でできるようになったのです。インターネットを中心にした情報収集であれば、ある程度の専門知識を仕入れることが非常に簡単になりました。
時間もかかりません。
検索エンジンをごく普通に使いこなせる人であれば、3時間もあれば大丈夫でしょう。3時間あれば、インターネット上に存在している膨大な量の情報から必要なものを取捨選択し、それを自分の知見として取り込んで、その分野に関して専門家に近い知識を得られるのです。




■目次

まえがき
第1章 激変した「情報をめぐる環境」
第2章 新聞記者は無意識に「マトリックス」を描く
第3章 クオリアを身につけよう
第4章 実践・3時間で専門家になる PART1
第5章 実践・3時間で専門家になる PART2
第6章 ニューロン型情報収集のノウハウ
第7章 セレンディピティを実現する
あとがき



■mmmの書評

いや、もちろん「3時間で専門家」になれると信じて釣られ読みしたわけではないっすよ。仕事上未知の業界と接することがわりと頻繁にあるため、情報収集について今以上のやり方を得るきっかけになるか、というのが今回の目的。

読後感で言うと、「勉強になった」が6、「?」が4かなあ。7:3でもいいんですが、やっぱり「?」は残るんです。僕が読めてないのかもしれないけれど。

著者の主張の出発点。「かつては情報を手元に集めることが情報収集だった。現代では常に膨大な情報が目の前にあるので、そこから必要なものを選び出すのが情報収集である」。当然これには完全同意。そこから著者はインターネットを使って、あるテーマについての網羅的な(=「専門家」的な)情報理解まで、効率的に持っていく自身の方法論を展開します。

方法の詳細は本書に具体例を交えて書かれていますので興味のある方は読んでいただけばよいとして、僕が「勉強になった」と思うポイント。著者は「まず知りたいテーマの周辺世界、その概略をつかむべし」と教えます。これもまあ普通なんですけど、そのために著者が実践している方法は、今の僕のGoogle検索一本槍よりもずっといいと感じました。著者はウェブサイトを

1、新聞記事データベース
2、一般ウェブサイト
3、個人・企業ブログ
4、掲示板

に分類し、1→4の順に信用度が高く、4→1の順で生の声が聞けると順列をつけています。著者の方法は、これを1から4へと順番に読み解いていくことで、あるテーマの「現状」とそこに至るまでの「経緯」、関連する人々の「感情」などを階層ごとに吸い上げて、テーマの「世界」全体を「皮膚感覚」で捉えようとするものです。

単なる検索に対してこの方法の優れた点は、より体系立てて情報を取り入れることができることじゃないかと思います。階層別に情報収集するための、新聞記事やブログ、掲示板のそれぞれに特化した検索方法も書かれているので、これは試す価値ありだと感じました。

さて著者の方法論は、あるテーマの概略を把握したのち「一点を掘り下げる」情報収集へと進みます。本書の具体例では、「少子高齢化」をテーマに選んで、まずはその全体像の概略を捉え、さらに検索での「セレンディピティ(=偶然の出会い)」によって得られた「葬祭業の現状」という一点を掘り下げます。そして、最終的には「変わりゆく葬儀ビジネスと今後の可能性」という深い情報へと辿り着きます。

…が、ここが僕の「?」なポイントでして。

この例で、著者は何の「専門家」になりえたのか?ってことなんです。普通に考えればスタート地点である「少子高齢化の『専門家』」だと思うんですが、少子高齢化についてはあくまで概略を理解したに留まっているように思えます。そこから掘り下げた「葬儀業界」は一事象に過ぎないので、葬祭業についての見識を深めたことをもって「少子高齢化」を知ったというのはおかしな話でしょう。

あるいは「葬儀ビジネスの『専門家』」? 「偶然の出会い」で辿り着いたものを結論とするのはちょっと無理を感じますし、これは違うでしょう。調べ始めた時点では思いも寄らなかった分野の専門家になれちゃうことが実用的だとはあまり思えません。

…やっぱり「?」です…。読み落としたかなあ

この「?」を埋めるために、考えられることがふたつはありそうです。ひとつは「紹介された手法は、より大きな情報収集の1サイクルに過ぎない」。少子高齢化の「専門家」になるためには、例に挙げた葬儀ビジネスについてと同じように他の事象についても掘り下げ、それを繰り返すべし、と。これなら理解できます。

もうひとつの可能性は「著者が元新聞記者で、今もジャーナリストだから」。ジャーナリストにとっての成果とは、トピックの発見である、と。少子高齢化という背景から生まれた事象の一例であっても、しかもそこに辿り着いたのがまったくの偶然であっても、ジャーナリストなら成果(記事とか本とか)へとつなげられます。僕の仕事とはちょっと違いますけど、タイトルには「私の方法」とちゃんと書いてありますし、納得はできますね。

本書はあくまで情報収集のお手本のひとつ。すでにインターネットを使って情報収集している人にとっては、革新的なノウハウが書かれているということはありませんし、それに長けた人ならば何ひとつ目新しいことはない、なんてこともありそうです。でも僕のような現代一般レベルの情報収集スキルで固定してしまっている者には、それを打破するために見習うべき実務的なお手本となりうると思いました。

こういう手本の数々からいいとこ取りのサンプリングを繰り返して、いずれ「私の方法」と言えるやり方を見つけ出すのがベストなんでしょうね。

3時間で「専門家」になる私の方法
佐々木 俊尚

3時間で「専門家」になる私の方法
頭のいい段取りの技術 議論のルールブック (新潮新書) 究極の会議 ちょいデキ! (文春新書) 労働法のキモが2時間でわかる本
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2009年2月4日水曜日

『モリー先生との火曜日』 ミッチ・アルボム 著


「実はね、ミッチ。いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べるんだよ」


普及版 モリー先生との火曜日
ミッチ・アルボム
4140810076



■内容紹介(amazonより)

スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムは、偶然テレビで大学時代の恩師の姿を見かける。モリー先生は、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。16年ぶりの再会。モリーは幸せそうだった。動かなくなった体で人とふれあうことを楽しんでいる。「憐れむより、君が抱えている問題を話してくれないか」モリーは、ミッチに毎週火曜日をくれた。死の床で行われる授業に教科書はない。テーマは「人生の意味」について。


■mmmの書評

ずばり良書。

読んでよかったなあ、な一冊なのは間違いないところです。が、ここはあえて「読んで」じゃなく「会えてよかった」と言いたい。誰に会えて? もちろんモリーに。まるで恩師を紹介するような気持ちで本書を紹介してみたい。「人生がうまくいかないって? 悩みごとがあるのなら一度モリーに会ってみたらどうだろう。きっと支えになると思うんだ」とか。

「モリー先生との火曜日」はすべて実話のノンフィクション(ですよね?)。売れっ子ライターの著者ミッチが、かつての恩師で現在は重病に冒されているモリーと16年ぶりに再会することから始まり、モリーに死が訪れるまでの数ヶ月間、毎週火曜日に約束された面会を繰り返すことで進んでいきます。

最期の講義のテーマは、ミッチがリストアップした「モリーに聞いておきたいこと」。愛、人と自分、家族、仕事とお金、社会と文化、老いの恐怖、許し、そして死。つまり、「人生とは?」。

言ってしまえば、よくあるテーマのよくあるストーリー。なのに本書がことさら胸に響く理由は、これが実話だってことももちろんあるんだけど、やっぱりモリー先生のお人柄に尽きるだろうと思います。羨ましくなるくらいに人生ってやつを愛しているんですよ、モリーは。最期のその瞬間まで。

さらに生徒役のミッチもとてもいい。学生時代の純粋さや夢を見失って、大人になった今は無自覚にビジネスと金とに翻弄されているミッチ。きっと同感の人も多いんでしょうが、「俺かと思った」。そんな彼が火曜日ごとに少しずつあの頃を取り戻していくのに合わせて、読み手である自分の気持ちも変わっていくのを感じながら講義は進んでいきます。

火曜日が来るたびにモリーの体がどんどん弱っていくこと、そして最後には亡くなってしまうことはもちろん悲しいんですが、本書を「泣ける一冊」と紹介するのはちょっと違うかと思います(泣いたか泣かなかったかと聞かれれば少し泣いたけど)。

これは、人生における大切なものをもういちど思い起こさせてくれる一冊。自分の人生を思いっきり愛するモリー先生の姿をどうして俺は羨ましくなんて思うんだろう、自分が同じように生きることができない理由なんて最初からまったくないはずなのに、と思わせてくれます。

つまり、人にも自分にも優しくなりたいと思わせてくれるんだ。「あなたにはそれができる」という証明と一緒に、与えてくれる。

生前のモリーが自ら決めた墓碑銘は、「死するまで教師たりき」。モリーとミッチとが毎週火曜日に講義を続けたのは、もっともっとたくさんの人に、モリーの考える人生の意味を伝えるため。そうやって「最期のレポート」である本書が書かれたおかげで世界中の数多くの人がモリー先生の教え子になったわけですが、遅ればせながらこのたびめでたく僕もそのひとりとなりました。

実際のモリーはもう亡くなったけど、今でもちゃんと生きてる。たとえば僕の本棚と、心の中なんかにも。

これは、おすすめです。


普及版 モリー先生との火曜日
ミッチ・アルボム

普及版 モリー先生との火曜日
モリー先生との火曜日 - Tuesdays with Morrie【講談社英語文庫】 天国の五人 人生の短さについて 他二篇 (岩波文庫) ずっとやりたかったことを、やりなさい。 もう一日 for one more day
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一生のうち、かならず何度かは読むだろう。


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2009年1月25日日曜日

『広告コピーってこう書くんだ!読本』 谷山雅計 著


「本当にいいアイデアやコピーは、発想法を知ればすぐに誰でもつくれるというものではありません。ふだんから、発想ができるような体質、つまり自分のアタマを“発想体質”にしておく必要があるわけですね。」


広告コピーってこう書くんだ!読本
谷山 雅計
4883351793


■内容紹介(amazonより)

トレーニング次第で、誰でも"発想体質"になれる!
新潮文庫「Yonda?」、東京ガス「ガス・パッ・チョ!」、「日テレ営業中」などの
名コピーを生み出した、論理派コピーライター谷山雅計。
彼が20年以上実践してきた「発想体質」になるための31のトレーニング法。



■mmmの書評

読後の印象、ポイントはみっつです。
1、とっても読みやすい。わかりやすい。
2、ほんとに7年9月刊行? 事例古くね?
3、書いてあるのは、「あたりまえ」のこと。


下から順に行ってみると。

3、書いてあるのは「あたりまえ」のこと。
広告クリエイター系の本って、「業界を目指す人」向けに書かれたものが多い印象を持つのは僕だけでしょうか? あるいは僕がそういうものをすすんで手にしているのかもしれないけれど、「業界を目指す人」だけでも大きな市場があるってことでしょうか? まあ余談ですが。

で、谷山雅計氏の語り口調で綴られる本書も、「セミナーで学生にもよくこう話すんですが云々」ってのがところどころに出てくるように、想定されてる読者は業界を目指す人、もしくは入りたての人(もしくは谷山ファン)なのだろうと思います。必然、同業者となるとその読みかたは「たしかにそうだよね」とか「常々思ってたことではあるけど、谷山さんはそう表現するのね」などなどがベースになってくるかと。それだけ、新人の頃に教わるようないわゆる「イロハ」の部分が厚めという印象です。もちろんだからといって期待外れだなんて言いません。だって「わかってるけど実行できてないこと」はいっぱいあるし。僕なんかは特に。

2、ほんとに7年9月刊行? 事例古くね?
そういう「あたりまえ」のことの上に、著者の広告とコピーについての独自の捉えかたが散りばめられている、というのが本書の基本的な構造です。この本だったか別のインタビューだったか失念してしまったんですが、著者は「もともとコピーライター志望ではなく、文章も得意じゃなかった。だから言葉ができることについて過大評価をしなくてすんだのかもしれない」といった趣旨のことを語っていたと記憶しています。「鑑賞用ではなく実用品としての言葉を生み出す」。これが著者のコピーライティングにおけるテーマであり、普遍的なメッセージを追求しようというのがクリエイターとしての彼のスタンス、イコール本書で送られるメインメッセージです。だから、事例が古いのもしょうがないか、と読み終えたあとで思いました。だってその作品が普遍性の高いものだったかどうかを証明してくれるのは、やっぱり時間なのだろうから。

1、とっても読みやすい。わかりやすい。
僕は遅読家ですが、それでも1時間もあれば読める読みやすさ。でも、さらっと読み終えてから思い返すと、「あれ、でもその割に中身は濃かったんじゃね?」と思うはず。

谷山氏は本書の中でこう語っています。


 さて、短く書かなくてはいけないもうひとつの理由は「流通力」です。
広告が影響力をもつのは、受け手が新聞や雑誌などに掲載されているものを見たその瞬間だけではありません。それから先があります。
 受け手は自分が目にした広告について、ふだん人と話をしているときに「このあいだ、新聞にこういう広告、出てたよね」と話題にします。さらに、その話を聞いた相手がそこで、「そんなのあったっけ?」「あっ、それ、見た見た」と興味をもって会話がふくらんでいくこともある。こうして、広告は人から人へと伝わっていきます。つまり流通です。
 いわば、少年向け漫画雑誌の“まわし読み”のようなものです。



つまり広告が媒体から離れて口コミ伝播の波に乗り、ひとり歩きすることを想定してつくる、と。そうなるためには、たとえばコピーは、まず大前提としてクライアントのメッセージをぎっしり乗せてなくちゃいけないけれど、かつ広告を直接見た人にとって、「頭に入りやすい」ものでなくちゃならない。さらに、その人が別の人に対して「口にしやすい」ものでもなきゃいけない。

なるほど確かに「ガス・パッ・チョ!」も「Yonda?」も「ペコロジー」も一度聞いたら忘れないし、つい口に出して言ってみたくなります。そこで本書の目次に注目。

■目次

▼序章
はじめに 「発想法ではなく、発想体質を」。/「なんかいいよね」禁止。

▼第1章 生きたコピーの書き方。
なぜ「たくさん」書かなければいけないか。/一晩で100本コピーを書く方法。/ボディコピーの書き方(超カンタン版)。/なぜ「短く」書かなければいけないか。/「描写」じゃない。「解決」なんだ。/人はコピーでウソをつく。/「アイラブ東日本」のウソ。/書き手のヨロコビ、受け手のヨロコビ(二毛作ジェルのワナ)。/葉っぱから森をつくろう。/おじいちゃんにプレゼントを選ぼう。

▼第2章 もっと伝えるために。
「原稿用紙」から世の中へ。/みんなが言いたいことを言わせてあげる。/オールブラックス115-0日本代表/スキがあるほうが、よくモテる。/カタチだけの納得。ホントウの納得。/ポジティブでなければ、ネガティブアプローチじゃない。/いいメチャクチャ、悪いメチャクチャ。/ダメ出しを制約と思うか、ヒントと思うか。/本当にすごいアイデアって(小さな工夫)。

▼第3章 コピーを超えるコピー。
正論こそサービス精神をもって語ろう。/「1対1」と「1対100万」の違い。/企画書だけうまくなってはいけない。/そりゃそうだ。そういえばそうだね。そんなのわかんない。/「好きだから、あげる。」は、なぜ名コピーなのか?/80年代は納得の時代、90年代以降は空気の時代。/剣豪コピーと将軍コピー。/言葉はキャラクターである。/平凡と非凡。平凡と普遍。

▼第4章 広告的「アタマのよさ」。
「くり返すことができる」が、プロ。/エンジンとガソリン。



そこにも思わず仕事中に言ってしまいそうな言葉がいっぱいです。『だから、なんかいいよね禁止だってば』とか『ここにズバッと剣豪コピーで』とか、明日打合せ中に言ってしまってもおかしくない(おかしいけど)。

すっと頭に入ってきて口にしやすいけれど、その短い言葉にはクライアントの要望の代わりにコピーライター谷山雅計のクリエイティブ思想がぎっしり乗っかっている。そんな著者ならではの「実用品」的な言葉たちが詰まった一冊。そんで、それが実用されることで伝播していくのも、著者の思惑通り、と。

個人的な好き嫌いの話をすれば、著者のコピーはあまり好きじゃないんです。僕は言葉を過大評価してるタイプなので。だから僕にとっては本書は「谷山コピーってこう書かれてんだ!読本」かなあ。

それはともかくとして、やっぱりこの仕事楽しいよ、って再確認できる一冊。これまた勉強させていただきました。感謝。


広告コピーってこう書くんだ!読本
広告コピーってこう書くんだ!読本谷山 雅計

宣伝会議 2007-09-15
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最新約コピーバイブル 巧告。 企画をヒットさせるために広告クリエイターたちが考えること 考告。 企画をヒットさせるために広告クリエイターたちが考えること 新・コピーライター入門 効告。 企画をヒットさせるために広告クリエイターたちが考えること




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2009年1月12日月曜日

『ポジショニング戦略』 アル・ライズ/ジャック・トラウト著


『ポジショニング理論は、マーケティング界に革命を起こし、活気にあふれた魅力あるものにしてくれた。それだけではない。本書を読めば、この理論が今もなお、「企業やブランドが市場で真の独自性を確立し、その地位を維持するための強力なツール」として威力を発揮していることがわかるだろう。』(フィリップ・コトラー)


ポジショニング戦略[新版]
アル・ライズ,ジャック・トラウト
4903212076



■内容紹介(amazonより)

消費者の「頭の中」を制する者が、ビジネスを制する。情報社会の中で「売れる商品」になる、発想と秘訣あり!豊富な実例をもとに、戦略の立て方と実践法を説いた名著。世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブル。



■目次

今も威力を発揮する革命的コンセプト-フィリップ・コトラー
序 マーケティング界を一変させた「新ルール」
01 ポジショニングとは何か?
02 頭脳は集中砲火を浴びている
03 頭の中に忍びこむ
04 「小さなはしご」を見逃すな
05 そこからでは、目的地にたどり着けない
06 業界リーダーになる必勝パターン
07 追いかける側の「勝ち方」とは?
08 ライバルのポジションを崩せ!
09 「ネーミング・パワー」をこの手に
10 「イニシャル」にご用心
11 「ただ乗り」は失敗の元
12 ライン拡大は企業を弱体化させる
13 ライン拡大で成功するための条件
14 「自社」をポジショニングする方法
15 「国」を売り出す際のポイント
16 無名の島を一大観光地にする
17 ポジショニングでヒット商品に変身
18 サービス業の「正しい」戦略
19 地方銀行でも大手都市銀行に勝てる
20 ライバルの弱点は「的確に」突け
21 「オーソリティのお墨付」を利用する
22 ポジショニングは教会をも変える
23 自分のキャリアアップに応用できること
24 戦略開始前に「六つの自問」を
25 まとめ-ポジショニングで勝利する十二の決め手



■mmmの書評


笑われてもしょうがない。ええ、今さら読みました。
でも読んでよかった。もちろん勉強になったし、
なにより読んでて楽しかった。…な一冊です。

マーケティングにおける30年前の革新的コンセプト、「ポジショニング」。そんな化石みたいな理論読んでどうすんの?俺ら別にマーケティング史学びたいわけじゃねーし。と、思うなかれ。「革新的」の形容は伊達ではなく、その後のマーケティング理論の数々はこの派生品に過ぎないそうな。

たとえるなら音楽におけるビートルズってところ? もしそれが登場しなかったら、その後のあらゆるものが今とは違うかたちになっていたかもしれない、という存在。マーケティングの歴史における転換点であり、現在なお続いている時代の起点。
…というのがこの理論のポジションです。そう、以来30年読み継がれる本書そのものが、本書の基本テーマの正しさを証明していると言えます。

その基本テーマとはすなわち

「消費者の頭の中に一番最初に入り込んだもの=ポジションを築いたものが圧倒的な優位性を手に入れる」。

では、消費者の頭の中にポジショニングするために必要な考え方とは? あるいはすでに別の企業がナンバーワンの地位を築いている市場で自社のポジショニングを達成するための考え方とは? ポジショニング理論を考えない「時代遅れの企業」が陥る落とし穴とは?

それらについての理論と手法が、豊富な事例で説明されます。この事例がまたおもしろい。「消費者の頭の中」を考えるこの理論は、マーケティングであると同時にコミュニケーション理論なので、プロモーション、つまり「何をどう訴えるか」に軸足が置かれます。

どの企業のどの商品がどんなコンセプトのどんなメッセージで、つまりどんな広告で成功あるいは失敗したのか、の事例の数々は、経営や商品開発はもちろんですが、広告の仕事、特に企画やコピーつくってる人間には、実践例としても十分な内容です。

事例は30年前のアメリカ企業のものですが、現代日本の事例に当てはめてもおもしろいです。どうして任天堂Wiiがひとり勝ちしてプレステ3やXboxが鳴かず飛ばずなのかとか、どうしてauが失速してSoftbankがこんだけ伸びたのか、とか、すとんと腑に落ちるはず。

もちろん、経営者でも広告屋でない人にも、ポジショニングは有効活用できます。25章「自分のキャリアアップに応用できること」を読むべし。場合によっては名前を変えろとか「できるか!」ってちょっと現実的じゃないことも書いてありますが、周囲の人間の頭の中に「自分をポジショニングできるか? どんな人間としてなら?」と問いかける姿勢はすべてのビジネスマンに使える視点だろうと思います

これを読んで自分の会社や自分のスタンスが時代遅れだと気づいたら要注意。かつて革新的だったこのコンセプトは今やとってもオーソドックスなものになっているわけで、実際はもっとずっと遅れているのかもしれません。さあどうぞ、致命傷になる前に。


ポジショニング戦略[新版]
アル・ライズ,ジャック・トラウト

ポジショニング戦略[新版]
フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法 ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則 経済は感情で動く―― はじめての行動経済学 事業戦略のレシピ 売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則
by G-Tools


基本を知れってことですよね、結局。



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2008年12月26日金曜日

『千々にくだけて』 リービ英雄 著


「画面の下にも、ground zeroと昨日はなかったのかそれとも疲れて気がつかなかったのか、そんな名称が書かれていた。グラウンド・ゼロ、と日本語で発音してみた。ばくしんち、と頭の中で和訳が響くと、思わずたじろいでしまった。」


千々にくだけて (講談社文庫)
Hideo Levy
4062761610



■内容紹介(
amazonより)

バンクーバー経由でニューヨークに向かったエドワードは、奇妙なアナウンスとともにカナダの見知らぬ街で足止めされる。繰り返し流れるテロの映像に芭蕉の句がオーバーラップして…。9・11を日本文学として初めて表現したと評価された大佛賞受賞作に、著者の原風景ともいうべき名作「国民のうた」を併録。


■mmmの書評

アメリカ人にして日本語で小説を書く異色の作家、リービ英雄のこの特異なポジションがなければ生まれなかっただろう作品。いや、作家としてのポジションなんて小さい話じゃないか。

これは米国人であり日本人であり、またそのどちらでもないという境遇を背負うひとりの人間についての物語。彼が偶然遭遇した9.11テロについて記した私小説(的作品)ということになっているけど、9.11テロはあくまで、(もちろん圧倒的に巨大で衝撃的な)舞台装置にすぎません。

確かに9.11テロ周辺の描写は、あれを対岸の火事としてしか見られなかった日本人にとっては生々しい衝撃。ここなんて夢に出てきそうだし。


富士銀行のミス・カトーは脱出に間に合ったのか。それとも、急に狭まった空間の中へ、崩れる石の音とともに何百何千もの英語の叫び声を聞きながら落ちて行ったのか。

でも、やっぱり本作の主題は9.11にはありません。テーマは、ふたつの国と言語の間に嵌まり込んだ人間の自己存在の欠落感と終わらない戸惑い、誰もが何らかの国・言語・思想に属するという通念から取り残された者の孤独と哀しさ、だろうと思います。

さらにその上で、そんな主人公エドワード(=著者)の姿の反転というかたちで、読者には本当のテーマが跳ね返ってきます。
「属するってことは、はたしてなんなのよ?」と。

思うに、「属する」とは、「自分以外の誰かによって自己存在が支えられる」ことではなかろうか。人は属するものが強固であるほど、現在過去未来の自己存在の「正しさ」が同属人たちによって支えられる。それは、その「正しさ」の絶対的正当性が保証されるということではないんだけど、コミュニティという相互扶助システムの内側では、存在の正当性が相互に支持される。そして逆にどこにも属さないことは、その人間の存在の正しさに迷いの影をさす。

属するもののない孤独と不安に苛まれつづけるエドワードに対して、日本人の日本語話者として日本の文学を読んでいる大半の読者は、自己存在が安定していることを実感するでしょう。

そこで、僕たち読者へ言外に投げられる、さらなる問い。
どのコミュニティからも、どの正当性からもこぼれ落ちた人間は自らの存在の正しさを迷う。しかし彼の存在は本当に「正しくない」のか?=何かに属することは「正しい」のか?

舞台装置である9.11テロは、異なるコミュニティそれぞれのローカルな正当性が、絶対的な正しさではないことの最大の証明として機能していると考えることもできます。さあ、困った。何かに属することもまた、人間の正しさを迷わせるじゃないか。

9.11という衝撃を、属するところをもたないがために悲しみ憤るアメリカ人としても傍観する日本人としても受け止められず、感情を誰とも共感することができない主人公の哀しさ。しかしどこにも属さないスタンドアローンな人間に、それでも沸き起こる感情こそが人としての本質的な感情=正しいもの、なのかもしれないと思いました。

じわじわと胸に迫る、属するところを喪失した主人公の宙ぶらりんな姿を通して、誰もが持つ「国と言語の属性」についてあらためて考えさせてくれる一冊。僕はそう読んだけれど、他の方々はどうなのか、それも非常に興味がありますね。



千々にくだけて (講談社文庫)
Hideo Levy

千々にくだけて (講談社文庫)
街場の教育論 橋本治と内田樹 延安―革命聖地への旅 昭和のエートス 日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)
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寂しさは、あきらめきれないうちがいちばん寂しいのね。



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2008年12月18日木曜日

『だれかに話したくなる小さな会社』 浜口隆則+村尾隆介 著


『価値のある会社とは、一番シンプルに考えれば、
人や社会から「いいなぁ」と言われるような会社です。
あなたの会社を、「いいなぁ」と言われるような会社に、
毎日少しずつしていけば、それで大丈夫です。』

だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則
4761265477


■内容紹介(
amazonより)
小さな会社でありながら、その地域や業界でブランドと呼ばれるような会社は、
人材や情報、お金といった経営資源が、向こうから集まってきます。
本書では、そんなブランド会社について、
1.どんな会社なのか?(だれかに話したくなるような会社の事例)
2.なぜ、今、ブランド化を意識しないといけないのか?
(その時代背景や、劇的に変化している経済のトレンド)
3.どうやったら、そんなブランド会社がつくれるのか?(具体的な7つの方法)
という構成で、人やチャンスが集まってくる方法を綴っています。


■目次は記事末に↓


■mmmの書評

いわゆるブランディング・ノウハウ本。…といってしまったらミもフタもないですが、ポイントは「小さな会社のための」という前置きがつくところ。小さい企業、お店、個人におけるブランディングの考え方と手法、事例が多面的に紹介されています。

内容はとても易しく、スタンスもとっても優しい。そこに一貫しているのは「いかにして自分の会社のファンをつくるか=周囲の人を幸せにするか」というビジネスマインドです。その徹底によって仕事もお金もスタッフも向こうから集まってくる、そういう経営を目指しましょうよ、というのが本書のメインテーマ。

それはそれですごく共感するんですが、次に重要なのは「じゃあ具体的にどうするの?」ってことで。もちろんそれについてもちゃんと書かれています。小さい会社のためのポジショニングの考え方、広報戦略、価格戦略、内部統制など、紹介されている手法の数々はなかなかに興味深いです。

大企業と小さい会社ではブランド構築のアプローチは違ってあたりまえ。今さらながらそうだよな、と思いました。小さな会社の経営者やお店のオーナーはもちろん、そういう方々を相手にビジネスをすることが多い僕みたいな仕事の人、起業志望の方、組織のなかでキャラが立たないとお悩みの方などは、一読の価値ありかと思います。

ちょいと物足りないと言えば確かにそうなんですが、すんなりと読めて、ビジネス本なのにちょっと幸せな気持ちにもなる優しい本です。


だれかに話したくなる小さな会社
浜口 隆則

だれかに話したくなる小さな会社
小さな会社のブランド戦略 君を幸せにする会社 「心の翼」の見つけ方 仕事が夢と感動であふれる5つの物語 (講演CD付) 仕事は味方
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さて、明日もがんばりましょ。


■「だれかに話したくなる小さな会社」目次

はじめに

「あなたの会社の矢印は、どちらですか?」
「会社の矢印」と「私たち」の関係

第1章 だれかに話したくなる小さな会社


お客さまの方から探してきてくれる会社/大好きなお客さまに囲まれている会社/高くても、喜んで支払ってもらえる会社/拡大しない勇気を持つ会社/「生き方」と「働き方」が一致している会社/成功を分かち合える仲間がいる会社/事業自体が社会貢献な会社

第2章 会社にまつわる見えない矢印


ミュージシャンのビジネスモデル/会社自体が価値を持つ時代/時代が変わっているのだから、私たちも変わらなければならない/小さな会社のブランド戦略/ブランドと呼べる会社の矢印/ブランドを持たない会社の矢印/部分戦略ではなく、全体戦略としてのブランド戦略/小さな会社が抱える大きな問題

第3章 「社会モテ」するブランド戦略

専門家宣言をしよう
カテゴリーをつくることが「ブランド」への近道/カテゴリーの見つけ方/ポジショニング戦略/砂時計の法則/リポジショニング戦略/専門家宣言は、会社のカリスマ性につながる/ブランド化は、会社の“わかりやすい化”/世界でたった一人へのメッセージ/いいネーミングがあれば、キャッチコピーはいらない/大きな会社と小さな会社のコーポレート・メッセージの違い/ロゴのアイデア/小さなブランド会社の印刷物

スタッフ・ブランディング
コントロールからチームビルディングへ/小さな会社に合ったクレドづくり/クレドの使い方、まわし方/繰り返すこと=社長の仕事/スタッフの心の栄養/目配り、気配り、心配りが出来る人/インターナル・ブランディング

価格を下げるのではなく、価値を上げる
コーヒー一杯800円のお店を開こう/利益をあげることから逃げない/価格はコストの積み重ねではない/「お金のこと」を、スタッフに意識づける

関わるすべての人をファンにする
「喜んでもらうこと」が商品/お客さまを先に好きになる/一回の売上ではなく、一生での売上/いちばん簡単なファンづくり

社会モテする会社になろう
事業自体が社会貢献的であること/ハムエッグで考える「社会貢献」/小さな会社の社長はロールモデル/役目がハッキリしている会社

100年続くようなビジネスシステムをつくろう
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おわりに


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2008年12月9日火曜日

『アルケミスト―夢を旅した少年』 パウロ・コエーリョ著


「もし、自分の運命を生きてさえいれば、
 知る必要のあるすべてのことを、人は知っている。
 しかし夢の実現を不可能にするものがたった一つだけある。
 それは失敗するのではないかという恐れだ」


アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
Paulo Coelho 
404275001X


■内容紹介(
amazonより)
羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。


■mmmの書評

…ねえあなた、夢はありますか。
もしこう訊かれたら、俺はすぐに答える。「Yes. I have a dream.」

…ではあなた、それを手に入れるための挑戦をしていますか。
次にこう訊かれたら、俺はきっと何も言えなくなる。
そして相手と、何より自分を納得させるための理由を探すんだ。

もちろん理由ならいくつでも見つけることができる。
でもそのどれもが自分を納得させることができないこと、
それは自分へのごまかしだということを、俺は知っている。

…と、人生の夢から目をそらしながら自分をごまかし生きていることにどんだけかの後ろめたさを感じてる人なら、この「アルケミスト」はズキズキくると思います。ええ、僕、そうでしたね。おとぎ話のくせに(失礼)、見透かしてきやがる。

パウロ・コエーリョの世界的ベストセラーである本書は、人生の希望、夢に向かうための教訓を詰め込んだ童話的な物語。ストーリーは至極単純、メッセージもとってもシンプル。すなわち

「自分の夢を追い求めてこそ、本当の人生。そして誰もがその本当の人生を生きることができる。ただ、自らそれを止めることさえしなければ」。

思い通りにいかないことの多い時代、未読ならぜひおすすめしたい作品。
さくっと読めて、しかもその後への影響力大ではなかろうか、と思います。

あらすじ。物語の主人公、アンダルシアの羊飼い少年サンチャゴは、いろいろな前兆から自分の人生の宝物がエジプトのピラミッドにあることを知ります。で、それを追い求めて旅に出ますが、その途上でこれまたいろんなことが起こります。

人に騙され資金を失う、自分を必要してくれる人に出会い現実的な成功をおさめる、いかんともしがたい外的要因に行く手を阻まれる、安住するに足る街を訪れる、しかもそこで名声と財産を得る、さらに運命の人に出会い、恋をする…。などなど。

これらサンチャゴくんの身に起こることのすべては、「人が自分の夢とそのための挑戦をあきらめる理由」たちです。言ってしまえば「いいわけ」。そこには悪いことばかりではなくて、すごくよいこともある。けれど、どんなによくてもそれは求めていた宝物じゃない。そう、人生には自分の夢を追い続けること以外にも「よいこと」がたくさんあるからややこしい。

旅の途中でそういうよいものたちを手に入れて、サンチャゴくんの気持ちも揺れ動きます。ああ、まるで僕やあなたのようではないか。

本書全編を通じて胸にズキズキくるけど、僕が個人的にいちばん印象に残ってる部分、夢をあきらめようとするサンチャゴくんと、旅の指導者である錬金術師(alchemist)との会話シーンを引用。ちょっと長いですが。




 少年はピラミッドの話をしたくなかった。彼の心は重く、昨晩から物悲しい気分だった。宝物を探し続けるということは、ファティマを捨てなければならないことを意味していた。

「わしがおまえを案内して、砂漠を渡ろう」と錬金術師は言った。
「僕はオアシスにずっといたいのです」と少年は答えた。「僕はファティマを見つけました。僕にとって、彼女の方が宝物よりも大切です」
「ファティマは砂漠の女だ」と錬金術師が言った。「彼女は、男は戻ってくるために遠くへ行かなければならないと知っている。それに、彼女はすでに自分の宝物を見つけたのだ。それはおまえのことだ。だから、彼女はおまえにも、おまえが探しているものを見つけてほしいと思っているのだ」

「では、僕がここにとどまったらどうなるのですか?」
「どうなるか教えよう。おまえはオアシスの相談役になるだろう。たくさんの羊とたくさんのらくだを買うためのお金も、十分に持っている。ファティマと結婚して、二人とも一年間は幸せに過ごす。おまえは砂漠が好きになり、五万本のやしの木の一本いっぽんを知るだろう。それらは、世界が刻一刻変わってゆくのを証明しながら育っていくだろう。おまえは前兆の読み方がどんどんうまくなってゆく。それは、砂漠が最高の先生だからだ。

 二年目のいつ頃か、おまえは宝物のことを思い出す。前兆が執ようにそのことを語りかけ始めるが、おまえはそれを無視しようとする。おまえは自分の知識をオアシスとその住民の幸せのために使う。族長はおまえのすることに感謝する。そして、おまえのらくだは、おまえに富と力をもたらす。

 三年目にも、前兆はおまえの宝物や運命について、語り続けるだろう。おまえは夜ごとにオアシスを歩きまわり、ファティマは、自分がおまえの探求のじゃまをしたと思って、不幸になる。しかしおまえは彼女を愛し、彼女はおまえの愛にこたえる。おまえは、ここにいてくれと彼女が決して言わなかったことを思い出す。砂漠の女は、自分の男を待たなければならないと知っているからだ。だからおまえは彼女を責めはしない。
しかし、おまえは砂漠の砂の上を歩きながら、もしかして自分は行けたかもしれない……もっとファティマへの自分の愛を信じることができたかもしれない、と何度も考えてしまう。なぜなら、おまえをオアシスに引き止めたものは、二度と戻って来ないのではないかというおまえ自身の恐れだったからだ。その時、おまえの宝物は永久に埋もれてしまったと、前兆は語るだろう。

 そして四年目のいつか、前兆はおまえを見捨てるだろう。おまえがもう、それに耳を傾けるのを止めてしまうからだ。部族の長たちはそれを発見して、おまえは相談役の地位を解かれてしまう。しかし、その時にはおまえは金持ちの商人になっていて、多くのらくだや商品を持っている。おまえはその後の人生をずっと、自分は運命を探求しなかった、もうそうするには遅すぎると思って暮らすだろう。


 男が自分の運命を探求するのを愛は決して引き止めはしないということを、おまえは理解しなければならない。もし彼がその追求をやめたとしたら、それは真の愛ではないからだ……大いなることばを語る愛ではないからだ」




まもなく終わる今年を、僕はとてもいい一年だったと振り返ると思うんですよね。いろいろとよいこともあったから。だからこそこの部分がいちばん印象に残ってるのかもしれんのです。きっとその人その人の状況によって響くポイントは違うのだろうと思いますけど。

「おまえはその後の人生をずっと、自分は運命を探求しなかった、もうそうするには遅すぎると思って暮らすだろう。」

僕にとっては、この短刀を直入されちゃう部分はなかなかに痛い。でもこの「アルケミスト」をこのタイミングで読んだこと、これがきっと前兆ってやつなんだろうと思いました。もちろんこの前兆を無視することもできるけど、僕は「さあもう一度、明日から何をしようか」と思いましたし、今も思っていたりします。いつも通りに根が単純なもので。でも読んでよかったです。

さて、最後に上記引用シーンの直後のサンチャゴくんの決意。


「僕は、あなたと一緒に行きます」と少年は言った。
彼はすぐに心の中に平和を感じた。


…うん。やがてくる新しい年、あなたと僕の心にこんな平和がありますように。




アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)Paulo Coelho 山川 紘矢 山川 亜希子

角川書店 1997-02
売り上げランキング : 1805

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by G-Tools
ピエドラ川のほとりで私は泣いた (角川文庫) 星の巡礼 (角川文庫) 11分間 (角川文庫) 第五の山 (角川文庫) ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)


スピリチュアル本として読むひともおられるよう。
僕はちょっと違いますけどね。

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2008年10月5日日曜日

『ザ・ロード』 コーマック・マッカーシー著


「この道には神の言葉を伝える人間が一人もいない。みんなおれを残して消え去り世界を一緒に連れていってしまった。そこで問う。今後存在しないものは今まで一度も存在しなかったものとどう違うのか。」

ザ・ロード
コーマック・マッカーシー
4152089261



■内容紹介(
amazonより)
世界は本当に終わってしまったのか?

滅びゆく大陸を漂流する父と子の
壮絶な旅路を描く、巨匠の代表作。
ピュリッツァー賞受賞。

【本書より抜粋】

友達はいた?
ああ。いたよ。
たくさん?
うん。
みんなのこと憶えてる?
ああ。憶えてる。
その人たちどうなったの?
死んでしまった。
みんな?
そう。みんな。
もう会えなくて寂しい?
うん。寂しい。
ぼくたちどこへ行くの?
南だ。


■mmmの書評

これは久しぶりに重―いパンチ。


読み終わってからしばらくは心に、棘なんてかわいいものじゃなく、杭が刺さった状態で日々を過ごすことになりました。最近でおすすめを一冊だけと聞かれれば、答えるのはたぶんこの本です。


物語の舞台は終末後の世界。昼間も太陽は覆い隠され、空からは灰が降り続く死んだ世界。ほとんどの動植物が死滅し、生き残ったわずかな人間たちは互いに奪い、殺し、食うことで生きている。そんな「終わりの終わり」へと向かう世界の中で、男と少年の父子ふたりがひたすらに南を目指して大陸を歩いていく、というストーリー。


とはいえ、そんな舞台設定に関する説明は一切なく、(たぶん核だろうと思わせはするけれど)どうして世界が終わってしまったのかも理由は語られぬまま、物語は三人称の語り手が伝える父子のごく身近な範囲での出来事と、父子の会話、そして時折そこに挿入される父の回想だけで展開していきます。


暴徒となった人間たちを避け、廃墟の街を探りつつ、互いに支えあいながら南へ南へと歩いていく父子。ですが、これは純粋にして単純な親子愛を読ませる小説ではありません。


父は幼い息子に『自分たちは善い人間であり、「火」を運んでいくという使命がある』と、それが失われた世界で生きる少年になお希望を教えようとしますが、自分自身は息子以外には世界の何ひとつにも希望を持つことができないという矛盾を抱えたまま、ふたりの旅は続きます。


幼い息子を愛し、彼を守るためなら殺人も厭わない父は、しかし同時に自分が死ぬ時には息子ひとりをこの世界にひとり残すなら自らの手で殺そうとも考えています。それが息子のためにしてやれる最後のことだと考え、はたしてそれが自分にできるのか煩悶します。

二人は伏せたまま耳を澄ました。お前にそれができるか? その時が来たら? その時が来たときにはもう時間はないだろう。なら今がその時だ。神を呪って死ね。もし不発だったら? いやちゃんと弾は出るはずだ。だがもし不発だったら? この子の頭を石で打ち砕けるか? お前の中に自分でも知らないそういう性根があるのか? そんなものがありうるのか? この子を両腕で抱け。そうそんなふうに。この魂は命に満ちている。自分のほうへ引き寄せろ。キスをしろ。早く。 

人間が人間として生きられない世界で、父が子に与えうるものは何か? 引き継ぐはずだった世界がすでに死んでしまった時に、父は子に何かを伝えることができるのか? それが本書のテーマだと僕は読みました。


ふたりの長い旅路の先に何があるのか、それはぜひご自分で。胸に重いパンチを食らってみてください。僕には、けっこう効きました。


文体は途中に読点がいっさいなく、地の文と心理描写の境界が明確でないため最初は読みにくさを感じるところもありますが、冷静で客観的、読者の感情を意図的に誘導しない地の文の淡々とした語り口が父子の身近に立つ観察者としての立場を読者に与えてくれて、かえって登場人物と感情を共有しながら読むことができます。


遠く道の先に見える人影が何者か、廃墟の扉の向こうには何があるか、という期待と不安。食料や弾丸の残りが減っていく焦燥。人ならぬ獣へと堕ちた人間たちへの恐怖・嫌悪・哀れみ。生きることははたして正しいのか、という葛藤。そしてその葛藤を愛する息子に重ねる苦しみ。


父の胸に渦巻く感情を共有しながら、いつのまにかページをめくる手が止められなくなっています。秋の夜長にぜひ。おすすめです。


ザ・ロード
ザ・ロードコーマック・マッカーシー

早川書房 2008-06-17
売り上げランキング : 1692

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血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1) すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫) Cities of the Plain (Border Trilogy, Vol 3) 血液と石鹸 (ハヤカワepiブック・プラネット) 聞いてないとは言わせない (ハヤカワ・ミステリ文庫 リ 9-1)


作者は映画「ノーカントリー」の原作者。
本作も映画化が決定、撮影も終わっているそうです。

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2008年9月21日日曜日

『彼岸の奴隷』 小川勝己 著

「どんなに美しいものも、
 闇の前にはその意味も、
 存在価値さえも失ってしまうんだよ。」


彼岸の奴隷 (角川文庫)
小川 勝己
4043706022


■内容紹介(amazonより)


手と首を斬り落とされた女の死体が発見された。捜査一課の蒲生信昭は、所轄の刑事・和泉龍一と組み、捜査を開始する。だが、被害者の娘、大河内涼を見たとたん、和泉の様子がおかしくなる。和泉を疑い出した蒲生は、彼の過去を調べるが…。血と暴力に彩られたあらゆる罪悪が襲いかかる狂気のクライム・ノベル。鬼才・小川勝己が描く、救いのない、背徳的な快楽に満ちた世界から、あなたは抜け出せるか―。


■目次

Ⅰ 黒い羊 Black sheep of the Family
Ⅱ 暗渠 Underdrain
Ⅲ 彼岸の奴隷 Evil Ecstasy

解説


■mmmの書評

最初に言っておくと、これはあえておすすめしません。普通ならおすすめの空振りは「つまんない」で済むんですが、これは「すんげえ不愉快」の域まで行ってしまうかも、な小説だから。エログロ満載、禁忌破りのオンパレード。ちょっとまともではないですね。悪趣味!


でも人の倫理観と娯楽嗜好性は必ずしも一致しないものだし、この手の本は自分に起こる道徳感と背徳感の均衡点のゆらぎみたいなものまでをエンターテイメントとして楽しめるなら、そこではじめて制限解除。それがダメなら読まぬが吉ってもんです。


さて、「彼岸の奴隷」。


物語は頭部と手首が切り落とされた死体が発見される殺人事件として動き始めます。が、この小説にとって事件の解決とその過程なんてものはあくまでオマケ。テーマは「愛するものを殺す(そして食う)欲望」に翻弄される人間像を描くことであり、登場人物はほぼ全員異常者として描かれ、全編通じて引用も憚られるような残虐シーンの連続です。


興味がある方は実際に読んでいただけばよいとして、僕個人の感想。たぶん作者は残虐シーンそのものを楽しんで書いてるし、読者にもそれを楽しんでほしいんだろうけれど、猟奇のための猟奇に終始してるって印象。 残虐シーンそのものをエンターテイメントとして楽しめるような人格ではない僕にとっては、そこはもういいからってくらいお腹いっぱいなのに、全体が浅い、中途半端な感じが決定的に残りました。


おそらく本書の娯楽性は、読者がびっくりするような残虐シーンを見せてそれを楽しんでもらうことに主眼が置かれているんじゃないかと思います。で、そのためにストーリーも登場人物の人間性や思考もないがしろになっている感が否めません。 エログロがあること自体はもちろんいいけど、ストーリーとか登場人物とかをそのための道具にしちゃったら本末転倒じゃんと思います。僕の価値観なら、あくまでエログロの方を道具に使うのが本来のエンターテイメントってものなんだけど。


僕たちの中にある悪への抗い難さ=「彼岸」への憧憬を刺激する種類のエンターテイメントは間違いなく成立すると思うけど、それを実行するのに悪そのものだけを殊更直接的に描くことは、愛のすばらしさを表現するのに愛そのものだけを描いちゃう少女趣味の恋愛小説と同じで、ちょいとシンプル過ぎやしねえかい、と思います。


この本に関しては僕の楽しみかたのほうが間違ってるのかも。こいつは単純にショッキングさと高揚感を楽しめばいいんだよ、という意見もありそうです。その点においては「とっても楽しい」作品であることは否定しませんが、ま、そんならこれは僕好みじゃないね、ってことで。






彼岸の奴隷 (角川文庫)
彼岸の奴隷 (角川文庫)小川 勝己

角川書店 2004-05
売り上げランキング : 199684

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まどろむベイビーキッス (角川文庫) 葬列 (角川文庫) 撓田村事件―iの遠近法的倒錯 (新潮文庫) 無間地獄 上  幻冬舎文庫 し 13-1 無間地獄 下  幻冬舎文庫 し 13-2



ショッキング一本槍で本当のゾクゾクは味わえなかったんですよね。
僕は、ですがね。


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2008年8月26日火曜日

『本を読む本』 モーティマー・J・アドラー 著


『これは「本を読む人」のための本である。
「これから本を読みたい人」のための本でもある。
つまり、「読む」ことによって知識を得、理解を深め、
すぐれた読書家になりたいと思う人のために書かれた本である。』



本を読む本 (講談社学術文庫)
Mortimer J. Adler Charles Van Doren 外山 滋比古
4061592998



■内容紹介(amazonより)
本書は、1940年米国で刊行されて以来、世界各国で翻訳され読みつがれてきた。読むに値する良書とは何か、読書の本来の意味とは何かを考え、知的かつ実際的な読書の技術をわかりやすく解説している。初級読書に始まり、点検読書や分析読書をへて、最終レベルにいたるまでの具体的な方法を示し、読者を積極的な読書へと導く。単なる読書技術にとどまることなく、自らを高めるための最高の手引書。


■目次は記事末に↓


■mmmの書評

あなたは読書が上手ですか?…と、あえて訊いてみる。


読書が上手い、下手だとはあまり使わない表現です。読書があまりにもパーソナルな行為であるために、果たして自分が上手か下手なのかについて、普通はあまり考える機会がないんですよね。速さと量以外に人と比べられる明白なものさしもないですし、みんながみんなそれぞれ自己流で読書をしてるのは、当然と言えば当然です。


で、これはその自己流の読書を見直すきっかけになる本。読書の技術と方法論、そして本と向き合う姿勢について指南した実践書です。


本書の主要なテーマはみっつ。

・読書を成功させるためには「積極的な読書」が必要である。積極的な読者であるために、私たちはいかに読むべきか。また理解し、考えるべきか。
・人生は有限で、本は無尽蔵にある。ある本が、読む価値のある良書かそうでないかを効率よく見極めるために私たちはどう読むべきか。
・読書は、ある本を読み、それを理解することが究極の目的でない。あるテーマに従って複数の本を理解し、それらには書かれていない自分なりの考えを導くことが本当の目的である。

…といったところでしょうか。これらについての方法論が極端なくらい体系的に整理され、またそれが理屈っぽい語り口調で語られるため、まるでお固い先生の講義を受けてるような感じです。読んでる最中には筆者に対して「面倒くさい人だな、この人」と思うこともちょくちょく。


ですが、本を楽しむのに理屈やらノウハウなんていらねえ、と放り出す勿れ。僕は昔からわりと本読みでしたが、数年前にこれを読んだのをきっかけにして長年の自己流読書スタイルにも変化があったのは事実です。


こうやってちょこちょこ書評を書いてるのも(書くこと自体じゃなくて考えることが目的だけど)、また以前は完全スルーで見向きもしなかった目次を、特に今回は手打ちしてまでここに載せてるのも、この本を読んだからこそです。


僕は今もこの本をときどき読み返しています。それは自分にはまだ本書が教えてくれる「理想の読書」が達成できていないから。やっぱり自分の好きなことに技術のレベルがあるなら上手くなりたいし、たまに読み返しては上達の方向を再確認します。


それぞれの自己流がまかり通る読書という行為に関して「上手いってのはこういうことだぜ」というものさしを与えてくれること。それが、この本自体が長い間「良書」とされてきたいちばんの理由です。



…あとこれ、ほとんど本を読まない人には向いてません。ある程度の読書習慣がある人で、「読書の上達が速読法ってのはなんか違うんじゃねえの?」とか感じる人向きですかね。もしそうならおすすめします。




本を読む本 (講談社学術文庫)
本を読む本 (講談社学術文庫)Mortimer J. Adler Charles Van Doren 外山 滋比古

講談社 1997-10
売り上げランキング : 110

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読書術 (岩波現代文庫) あなたもいままでの10倍速く本が読める 「困った人たち」とのつきあい方 (河出文庫) 第1感  「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳) 勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践


ま、読書は楽しけりゃいいってのも、じゅうぶんアリですけれど。


■「本を読む本」目次

日本の読者の皆さんへ モーティマー・J・アドラー

第1部 読書の意味

1.読書技術と積極性
積極的読書/読書の目的-知識のための読書と理解のための読書/「読む」ことは「学ぶ」ことである-「教わること」と「発見すること」の違い/教師のいる場合、いない場合
2.読書のレベル

3.初級読書-読書の第一レベル
読みかた学習の諸段階/段階とレベル/高等教育と読書
4.点検読書-読書の第二レベル
点検読書1-組織的な拾い読み、または下読み/点検読書2-表面読み/読書の速度/目の動き/「理解すること」
5.意欲的な読者になるには
積極読書への四つの質問/本を自分のものにするには/書き込みの方法/読書習慣を身につける/多くの規則から一つの習慣へ

第2部 分析読書-読書の第三レベル

6.本を分類する
分類の重要性/書名から何がわかるか/理論的な本と実践的な本/理論的な本の種類
7.本を透視する
構想とプロット-本の統一/アウトラインをつかむ/読む技術と書く技術/著者の意図を見つける/分析読書の第一段階
8.著者と折り合いをつける
著者の使う言葉に注意する/キー・ワードを見つける/専門用語と特殊な語彙/単語の意味をつかむ
9.著者の伝えたいことは何か
文および命題/キー・センテンスを見つける/命題を見つける/論証を見つける/著者の解決を検討する
10.本を正しく批評する
学ぶことの効用/修辞の役割/判断保留の重要性/けんか腰はよくない/反論を解消する
11.著者に賛成するか、反論するか
思い込みと判断/著者の主張は果たして妥当か/論証は、果たして完全と言える/分析読書の第三段階
12.読書の補助手段
「経験」の役割/他の本から手助けを得る/注釈書や抜粋参考書の使いかた/辞書の使いかた/百科事典の使いかた
第3部 文学の読みかた

13.小説、戯曲、詩の読みかた
文学を読むとき、してはならないこと/文学を読むための一般法則/小説の読みかた/戯曲の読みかた/叙情詩の読みかた
第4部 読書の最終目標

14.シントピカル読書-読書の第四レベル
シントピカル読書における点検の役目/シントピカル読書の五つの段階/客観性はなぜ必要か/シントピカル読書の実例-進歩の観念について/シントピコンとその利用法/シントピカル読書の原理について/シントピカル読書のまとめ
15.読書と精神の成長
良書が与えてくれるもの/本のピラミッド/生きることと精神の成長
日本人の読書-訳者あとがきにかえて


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