「本当にいいアイデアやコピーは、発想法を知ればすぐに誰でもつくれるというものではありません。ふだんから、発想ができるような体質、つまり自分のアタマを“発想体質”にしておく必要があるわけですね。」
広告コピーってこう書くんだ!読本
谷山 雅計

■内容紹介(amazonより)
トレーニング次第で、誰でも"発想体質"になれる!
新潮文庫「Yonda?」、東京ガス「ガス・パッ・チョ!」、「日テレ営業中」などの
名コピーを生み出した、論理派コピーライター谷山雅計。
彼が20年以上実践してきた「発想体質」になるための31のトレーニング法。
■mmmの書評
読後の印象、ポイントはみっつです。
1、とっても読みやすい。わかりやすい。
2、ほんとに7年9月刊行? 事例古くね?
3、書いてあるのは、「あたりまえ」のこと。
下から順に行ってみると。
3、書いてあるのは「あたりまえ」のこと。
広告クリエイター系の本って、「業界を目指す人」向けに書かれたものが多い印象を持つのは僕だけでしょうか? あるいは僕がそういうものをすすんで手にしているのかもしれないけれど、「業界を目指す人」だけでも大きな市場があるってことでしょうか? まあ余談ですが。
で、谷山雅計氏の語り口調で綴られる本書も、「セミナーで学生にもよくこう話すんですが云々」ってのがところどころに出てくるように、想定されてる読者は業界を目指す人、もしくは入りたての人(もしくは谷山ファン)なのだろうと思います。必然、同業者となるとその読みかたは「たしかにそうだよね」とか「常々思ってたことではあるけど、谷山さんはそう表現するのね」などなどがベースになってくるかと。それだけ、新人の頃に教わるようないわゆる「イロハ」の部分が厚めという印象です。もちろんだからといって期待外れだなんて言いません。だって「わかってるけど実行できてないこと」はいっぱいあるし。僕なんかは特に。
2、ほんとに7年9月刊行? 事例古くね?
そういう「あたりまえ」のことの上に、著者の広告とコピーについての独自の捉えかたが散りばめられている、というのが本書の基本的な構造です。この本だったか別のインタビューだったか失念してしまったんですが、著者は「もともとコピーライター志望ではなく、文章も得意じゃなかった。だから言葉ができることについて過大評価をしなくてすんだのかもしれない」といった趣旨のことを語っていたと記憶しています。「鑑賞用ではなく実用品としての言葉を生み出す」。これが著者のコピーライティングにおけるテーマであり、普遍的なメッセージを追求しようというのがクリエイターとしての彼のスタンス、イコール本書で送られるメインメッセージです。だから、事例が古いのもしょうがないか、と読み終えたあとで思いました。だってその作品が普遍性の高いものだったかどうかを証明してくれるのは、やっぱり時間なのだろうから。
1、とっても読みやすい。わかりやすい。
僕は遅読家ですが、それでも1時間もあれば読める読みやすさ。でも、さらっと読み終えてから思い返すと、「あれ、でもその割に中身は濃かったんじゃね?」と思うはず。
谷山氏は本書の中でこう語っています。
さて、短く書かなくてはいけないもうひとつの理由は「流通力」です。
広告が影響力をもつのは、受け手が新聞や雑誌などに掲載されているものを見たその瞬間だけではありません。それから先があります。
受け手は自分が目にした広告について、ふだん人と話をしているときに「このあいだ、新聞にこういう広告、出てたよね」と話題にします。さらに、その話を聞いた相手がそこで、「そんなのあったっけ?」「あっ、それ、見た見た」と興味をもって会話がふくらんでいくこともある。こうして、広告は人から人へと伝わっていきます。つまり流通です。
いわば、少年向け漫画雑誌の“まわし読み”のようなものです。
つまり広告が媒体から離れて口コミ伝播の波に乗り、ひとり歩きすることを想定してつくる、と。そうなるためには、たとえばコピーは、まず大前提としてクライアントのメッセージをぎっしり乗せてなくちゃいけないけれど、かつ広告を直接見た人にとって、「頭に入りやすい」ものでなくちゃならない。さらに、その人が別の人に対して「口にしやすい」ものでもなきゃいけない。
なるほど確かに「ガス・パッ・チョ!」も「Yonda?」も「ペコロジー」も一度聞いたら忘れないし、つい口に出して言ってみたくなります。そこで本書の目次に注目。
■目次
▼序章
はじめに 「発想法ではなく、発想体質を」。/「なんかいいよね」禁止。
▼第1章 生きたコピーの書き方。
なぜ「たくさん」書かなければいけないか。/一晩で100本コピーを書く方法。/ボディコピーの書き方(超カンタン版)。/なぜ「短く」書かなければいけないか。/「描写」じゃない。「解決」なんだ。/人はコピーでウソをつく。/「アイラブ東日本」のウソ。/書き手のヨロコビ、受け手のヨロコビ(二毛作ジェルのワナ)。/葉っぱから森をつくろう。/おじいちゃんにプレゼントを選ぼう。
▼第2章 もっと伝えるために。
「原稿用紙」から世の中へ。/みんなが言いたいことを言わせてあげる。/オールブラックス115-0日本代表/スキがあるほうが、よくモテる。/カタチだけの納得。ホントウの納得。/ポジティブでなければ、ネガティブアプローチじゃない。/いいメチャクチャ、悪いメチャクチャ。/ダメ出しを制約と思うか、ヒントと思うか。/本当にすごいアイデアって(小さな工夫)。
▼第3章 コピーを超えるコピー。
正論こそサービス精神をもって語ろう。/「1対1」と「1対100万」の違い。/企画書だけうまくなってはいけない。/そりゃそうだ。そういえばそうだね。そんなのわかんない。/「好きだから、あげる。」は、なぜ名コピーなのか?/80年代は納得の時代、90年代以降は空気の時代。/剣豪コピーと将軍コピー。/言葉はキャラクターである。/平凡と非凡。平凡と普遍。
▼第4章 広告的「アタマのよさ」。
「くり返すことができる」が、プロ。/エンジンとガソリン。
そこにも思わず仕事中に言ってしまいそうな言葉がいっぱいです。『だから、なんかいいよね禁止だってば』とか『ここにズバッと剣豪コピーで』とか、明日打合せ中に言ってしまってもおかしくない(おかしいけど)。
すっと頭に入ってきて口にしやすいけれど、その短い言葉にはクライアントの要望の代わりにコピーライター谷山雅計のクリエイティブ思想がぎっしり乗っかっている。そんな著者ならではの「実用品」的な言葉たちが詰まった一冊。そんで、それが実用されることで伝播していくのも、著者の思惑通り、と。
個人的な好き嫌いの話をすれば、著者のコピーはあまり好きじゃないんです。僕は言葉を過大評価してるタイプなので。だから僕にとっては本書は「谷山コピーってこう書かれてんだ!読本」かなあ。
それはともかくとして、やっぱりこの仕事楽しいよ、って再確認できる一冊。これまた勉強させていただきました。感謝。
| 広告コピーってこう書くんだ!読本 | |
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