2009年1月25日日曜日

『広告コピーってこう書くんだ!読本』 谷山雅計 著


「本当にいいアイデアやコピーは、発想法を知ればすぐに誰でもつくれるというものではありません。ふだんから、発想ができるような体質、つまり自分のアタマを“発想体質”にしておく必要があるわけですね。」


広告コピーってこう書くんだ!読本
谷山 雅計
4883351793


■内容紹介(amazonより)

トレーニング次第で、誰でも"発想体質"になれる!
新潮文庫「Yonda?」、東京ガス「ガス・パッ・チョ!」、「日テレ営業中」などの
名コピーを生み出した、論理派コピーライター谷山雅計。
彼が20年以上実践してきた「発想体質」になるための31のトレーニング法。



■mmmの書評

読後の印象、ポイントはみっつです。
1、とっても読みやすい。わかりやすい。
2、ほんとに7年9月刊行? 事例古くね?
3、書いてあるのは、「あたりまえ」のこと。


下から順に行ってみると。

3、書いてあるのは「あたりまえ」のこと。
広告クリエイター系の本って、「業界を目指す人」向けに書かれたものが多い印象を持つのは僕だけでしょうか? あるいは僕がそういうものをすすんで手にしているのかもしれないけれど、「業界を目指す人」だけでも大きな市場があるってことでしょうか? まあ余談ですが。

で、谷山雅計氏の語り口調で綴られる本書も、「セミナーで学生にもよくこう話すんですが云々」ってのがところどころに出てくるように、想定されてる読者は業界を目指す人、もしくは入りたての人(もしくは谷山ファン)なのだろうと思います。必然、同業者となるとその読みかたは「たしかにそうだよね」とか「常々思ってたことではあるけど、谷山さんはそう表現するのね」などなどがベースになってくるかと。それだけ、新人の頃に教わるようないわゆる「イロハ」の部分が厚めという印象です。もちろんだからといって期待外れだなんて言いません。だって「わかってるけど実行できてないこと」はいっぱいあるし。僕なんかは特に。

2、ほんとに7年9月刊行? 事例古くね?
そういう「あたりまえ」のことの上に、著者の広告とコピーについての独自の捉えかたが散りばめられている、というのが本書の基本的な構造です。この本だったか別のインタビューだったか失念してしまったんですが、著者は「もともとコピーライター志望ではなく、文章も得意じゃなかった。だから言葉ができることについて過大評価をしなくてすんだのかもしれない」といった趣旨のことを語っていたと記憶しています。「鑑賞用ではなく実用品としての言葉を生み出す」。これが著者のコピーライティングにおけるテーマであり、普遍的なメッセージを追求しようというのがクリエイターとしての彼のスタンス、イコール本書で送られるメインメッセージです。だから、事例が古いのもしょうがないか、と読み終えたあとで思いました。だってその作品が普遍性の高いものだったかどうかを証明してくれるのは、やっぱり時間なのだろうから。

1、とっても読みやすい。わかりやすい。
僕は遅読家ですが、それでも1時間もあれば読める読みやすさ。でも、さらっと読み終えてから思い返すと、「あれ、でもその割に中身は濃かったんじゃね?」と思うはず。

谷山氏は本書の中でこう語っています。


 さて、短く書かなくてはいけないもうひとつの理由は「流通力」です。
広告が影響力をもつのは、受け手が新聞や雑誌などに掲載されているものを見たその瞬間だけではありません。それから先があります。
 受け手は自分が目にした広告について、ふだん人と話をしているときに「このあいだ、新聞にこういう広告、出てたよね」と話題にします。さらに、その話を聞いた相手がそこで、「そんなのあったっけ?」「あっ、それ、見た見た」と興味をもって会話がふくらんでいくこともある。こうして、広告は人から人へと伝わっていきます。つまり流通です。
 いわば、少年向け漫画雑誌の“まわし読み”のようなものです。



つまり広告が媒体から離れて口コミ伝播の波に乗り、ひとり歩きすることを想定してつくる、と。そうなるためには、たとえばコピーは、まず大前提としてクライアントのメッセージをぎっしり乗せてなくちゃいけないけれど、かつ広告を直接見た人にとって、「頭に入りやすい」ものでなくちゃならない。さらに、その人が別の人に対して「口にしやすい」ものでもなきゃいけない。

なるほど確かに「ガス・パッ・チョ!」も「Yonda?」も「ペコロジー」も一度聞いたら忘れないし、つい口に出して言ってみたくなります。そこで本書の目次に注目。

■目次

▼序章
はじめに 「発想法ではなく、発想体質を」。/「なんかいいよね」禁止。

▼第1章 生きたコピーの書き方。
なぜ「たくさん」書かなければいけないか。/一晩で100本コピーを書く方法。/ボディコピーの書き方(超カンタン版)。/なぜ「短く」書かなければいけないか。/「描写」じゃない。「解決」なんだ。/人はコピーでウソをつく。/「アイラブ東日本」のウソ。/書き手のヨロコビ、受け手のヨロコビ(二毛作ジェルのワナ)。/葉っぱから森をつくろう。/おじいちゃんにプレゼントを選ぼう。

▼第2章 もっと伝えるために。
「原稿用紙」から世の中へ。/みんなが言いたいことを言わせてあげる。/オールブラックス115-0日本代表/スキがあるほうが、よくモテる。/カタチだけの納得。ホントウの納得。/ポジティブでなければ、ネガティブアプローチじゃない。/いいメチャクチャ、悪いメチャクチャ。/ダメ出しを制約と思うか、ヒントと思うか。/本当にすごいアイデアって(小さな工夫)。

▼第3章 コピーを超えるコピー。
正論こそサービス精神をもって語ろう。/「1対1」と「1対100万」の違い。/企画書だけうまくなってはいけない。/そりゃそうだ。そういえばそうだね。そんなのわかんない。/「好きだから、あげる。」は、なぜ名コピーなのか?/80年代は納得の時代、90年代以降は空気の時代。/剣豪コピーと将軍コピー。/言葉はキャラクターである。/平凡と非凡。平凡と普遍。

▼第4章 広告的「アタマのよさ」。
「くり返すことができる」が、プロ。/エンジンとガソリン。



そこにも思わず仕事中に言ってしまいそうな言葉がいっぱいです。『だから、なんかいいよね禁止だってば』とか『ここにズバッと剣豪コピーで』とか、明日打合せ中に言ってしまってもおかしくない(おかしいけど)。

すっと頭に入ってきて口にしやすいけれど、その短い言葉にはクライアントの要望の代わりにコピーライター谷山雅計のクリエイティブ思想がぎっしり乗っかっている。そんな著者ならではの「実用品」的な言葉たちが詰まった一冊。そんで、それが実用されることで伝播していくのも、著者の思惑通り、と。

個人的な好き嫌いの話をすれば、著者のコピーはあまり好きじゃないんです。僕は言葉を過大評価してるタイプなので。だから僕にとっては本書は「谷山コピーってこう書かれてんだ!読本」かなあ。

それはともかくとして、やっぱりこの仕事楽しいよ、って再確認できる一冊。これまた勉強させていただきました。感謝。


広告コピーってこう書くんだ!読本
広告コピーってこう書くんだ!読本谷山 雅計

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2009年1月12日月曜日

『ポジショニング戦略』 アル・ライズ/ジャック・トラウト著


『ポジショニング理論は、マーケティング界に革命を起こし、活気にあふれた魅力あるものにしてくれた。それだけではない。本書を読めば、この理論が今もなお、「企業やブランドが市場で真の独自性を確立し、その地位を維持するための強力なツール」として威力を発揮していることがわかるだろう。』(フィリップ・コトラー)


ポジショニング戦略[新版]
アル・ライズ,ジャック・トラウト
4903212076



■内容紹介(amazonより)

消費者の「頭の中」を制する者が、ビジネスを制する。情報社会の中で「売れる商品」になる、発想と秘訣あり!豊富な実例をもとに、戦略の立て方と実践法を説いた名著。世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブル。



■目次

今も威力を発揮する革命的コンセプト-フィリップ・コトラー
序 マーケティング界を一変させた「新ルール」
01 ポジショニングとは何か?
02 頭脳は集中砲火を浴びている
03 頭の中に忍びこむ
04 「小さなはしご」を見逃すな
05 そこからでは、目的地にたどり着けない
06 業界リーダーになる必勝パターン
07 追いかける側の「勝ち方」とは?
08 ライバルのポジションを崩せ!
09 「ネーミング・パワー」をこの手に
10 「イニシャル」にご用心
11 「ただ乗り」は失敗の元
12 ライン拡大は企業を弱体化させる
13 ライン拡大で成功するための条件
14 「自社」をポジショニングする方法
15 「国」を売り出す際のポイント
16 無名の島を一大観光地にする
17 ポジショニングでヒット商品に変身
18 サービス業の「正しい」戦略
19 地方銀行でも大手都市銀行に勝てる
20 ライバルの弱点は「的確に」突け
21 「オーソリティのお墨付」を利用する
22 ポジショニングは教会をも変える
23 自分のキャリアアップに応用できること
24 戦略開始前に「六つの自問」を
25 まとめ-ポジショニングで勝利する十二の決め手



■mmmの書評


笑われてもしょうがない。ええ、今さら読みました。
でも読んでよかった。もちろん勉強になったし、
なにより読んでて楽しかった。…な一冊です。

マーケティングにおける30年前の革新的コンセプト、「ポジショニング」。そんな化石みたいな理論読んでどうすんの?俺ら別にマーケティング史学びたいわけじゃねーし。と、思うなかれ。「革新的」の形容は伊達ではなく、その後のマーケティング理論の数々はこの派生品に過ぎないそうな。

たとえるなら音楽におけるビートルズってところ? もしそれが登場しなかったら、その後のあらゆるものが今とは違うかたちになっていたかもしれない、という存在。マーケティングの歴史における転換点であり、現在なお続いている時代の起点。
…というのがこの理論のポジションです。そう、以来30年読み継がれる本書そのものが、本書の基本テーマの正しさを証明していると言えます。

その基本テーマとはすなわち

「消費者の頭の中に一番最初に入り込んだもの=ポジションを築いたものが圧倒的な優位性を手に入れる」。

では、消費者の頭の中にポジショニングするために必要な考え方とは? あるいはすでに別の企業がナンバーワンの地位を築いている市場で自社のポジショニングを達成するための考え方とは? ポジショニング理論を考えない「時代遅れの企業」が陥る落とし穴とは?

それらについての理論と手法が、豊富な事例で説明されます。この事例がまたおもしろい。「消費者の頭の中」を考えるこの理論は、マーケティングであると同時にコミュニケーション理論なので、プロモーション、つまり「何をどう訴えるか」に軸足が置かれます。

どの企業のどの商品がどんなコンセプトのどんなメッセージで、つまりどんな広告で成功あるいは失敗したのか、の事例の数々は、経営や商品開発はもちろんですが、広告の仕事、特に企画やコピーつくってる人間には、実践例としても十分な内容です。

事例は30年前のアメリカ企業のものですが、現代日本の事例に当てはめてもおもしろいです。どうして任天堂Wiiがひとり勝ちしてプレステ3やXboxが鳴かず飛ばずなのかとか、どうしてauが失速してSoftbankがこんだけ伸びたのか、とか、すとんと腑に落ちるはず。

もちろん、経営者でも広告屋でない人にも、ポジショニングは有効活用できます。25章「自分のキャリアアップに応用できること」を読むべし。場合によっては名前を変えろとか「できるか!」ってちょっと現実的じゃないことも書いてありますが、周囲の人間の頭の中に「自分をポジショニングできるか? どんな人間としてなら?」と問いかける姿勢はすべてのビジネスマンに使える視点だろうと思います

これを読んで自分の会社や自分のスタンスが時代遅れだと気づいたら要注意。かつて革新的だったこのコンセプトは今やとってもオーソドックスなものになっているわけで、実際はもっとずっと遅れているのかもしれません。さあどうぞ、致命傷になる前に。


ポジショニング戦略[新版]
アル・ライズ,ジャック・トラウト

ポジショニング戦略[新版]
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基本を知れってことですよね、結局。



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